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救急車で公平(吉田栄作)と見知らぬ中年男が運ばれてきた。男が駅のホームでよろけたのを助けようとして、公平も一緒に線路に落ちたらしい。幸いどちらも打撲で命に別状はない。
「電車がきてたら、あの人と心中するところでしたよ。」 公平が軽傷で、冴(財前直見)は胸をなでおろした。なぜ公平が西日暮里駅にいたのか。しかも夜中の12時の出来事。 「女ですね。」 「きっと同棲よ。」 萌子(星野有香)とまゆみ(安西ひろこ)は決めつけた。 「あんたは諦めた方がいいわね。」 恵子(横山めぐみ)にも鼻であしらわれたが、それぐらいでへこたれる冴ではない。 「どんな女がいようと、あたしは負けない。狙った獲物は絶対に落としてみせるわ。」 冴は気合を込めて宙をにらんだ。 井上圭太(井上 順)、公平と線路に落ちたこの男は大のギャンブル好きだった。大部屋に患者たちを集めては花札ざんまい。 「また、やられた!」 落合(久保 晶)も中田(伊藤俊人)も酒木(桑原貞雄)も大枚巻き上げられてしまった。 「病院内でギャンブルなんて!」 久美子(京野ことみ)が叱っても井上は 「お姉ちゃんも一緒にやろうよ。」 と反省の色は全くなし。 ![]() 挙げ句には明日の馬券を買ってきてほしいと久美子に頼む始末。
「お断りします。私はドクターです。」 久美子は井上をにらんで病室を出ていった。 |
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冴は一樹(剣太郎セガール)に公平との仲を占ってもらっていた。 「チャンスは誕生日1度きりです。」 「分かりました。誕生日のビッグプレゼントで勝負に出ます。」 思い立ったら行動あるのみ。勝負はまずライバルの素性をつかむことから。冴が西日暮里駅で張り込んでいると、改札から公平が出てきた。こっそり尾行していくと、公平はとあるアパートの部屋の前で止まった。 「どんな美人が出てきても、あたしは驚かないわよ。」 ところがドアを開けたのは男。公平からケーキの箱を受け取ると、うれしそうに部屋の中に招き入れた。 「まさか、あの男が恋人ってこと?ウ、ウソォ!」 さすがの冴も絶句した。 ショックに打ちのめされた冴が夜勤のために病院へ戻ってみると、ナースステーション前のソファに患者たちが不安そうな顔で集まっていた。 「井上さんがまだ帰ってこないんですよ。」 「えっ!」 実は井上が間違いなく当たる馬券があると言ったものだから、患者たちはお金を渡して買いに行ってもらったのだ。冴と萌子もボーナスの残りを全て手渡していた。 「あのクソ親父、なにが倍にして返すよ!バースディプレゼントはどうするのよ!」 冴が怒りをぶちまけていると、斉藤(大滝 純)が近寄ってきた。 「警察に届けろよ。」 久美子はあわてた。 「まだ持ち逃げと決まったわけじゃないでしょ。」 斉藤は憎々しげにつぶやいた。 「アイツはそういう男なんだ。自分勝手に生きて、他人はどうなってもいいんだ。」 |
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警察への通報をめぐってみんなが騒いでいると、当の井上が帰ってきた。 「みなさん、お揃いでどうしたんですか。」 酒が入って上機嫌だ。 「久しぶりに外へ出たら、すっかりいい気持ちになっちゃって。」 ちゃんと馬券も買っていた。 「これで明日のレースが終わったら、みんな大金持ちだ。」 みんなに馬券を配っていた井上が斉藤に気づいて声を上げた。 「透じゃないか。お前、この病院に勤めていたのかあ。」 ところが斉藤は 「オレの前からとっとと消えろ。」 と言い捨てると、振り返りもせずに歩き去った。 「あの気取った斉藤先生の父親が競馬オヤジだったとわねえ。」 翌朝のナースステーションはその話題でもちきりだった。医師だった井上は妻と息子の斉藤を捨てて、離れ小島の船宿で気ままに暮らしていたらしい。 斉藤は父親を強制退院させるよう、総婦長の玲子(鷲尾真知子)と久美子にねじこんだ。 「アイツがとんでもないことをしでかしてからでは遅いんです。」 父親に対する憎悪はかなりのものだった。 ![]() そこへ公平がレントゲン写真を持って入ってきた。井上の胸部のレントゲン写真。
「骨に異常はありません。しかしこの影は。」 肺ガンだった。それでも斉藤は無言のまま、ナースステーションを出ていった。 |
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大部屋では患者たちが井上を囲んで盛り上がっていた。馬券が的中したのだ。 「退院する前に予想していって下さいよ。」 「よし!オレに任せろ。」 井上は得意満面だ。 けれども井上の肺ガンはかなり進行していた。手術をしても生存率はパーセント。 「あの人もかつて医師だった。隠しておくのは難しいだろう。」 公平は本人に告知することにした。 冴はなんとかして斉藤と父親を和解させてやりたかった。 「お父さんのこと、許してあげたらいいじゃない。」 「アイツは病院のプレッシャーに耐え切れずに、酒に逃げて、ギャンブルに逃げて、最後にはオレとお袋を捨てて、離島にまで逃げたんだ。今ごろ出てきて、肺ガンだってよ。笑わせるな。」 斉藤はうっ憤をぶちまけた。 翌日、久美子の母親・光子(田島令子)が病院にやって来た。娘と斉藤を結婚させたい光子は、斉藤の父親が入院していることを聞きつけたのだ。 「親戚になる方なのよ。ご挨拶しなきゃ。」 斉藤は光子を押し止めた。 「そんな必要はありません。あの人とはとっくに親子の縁を切っていますから。」 そのころ、公平は井上に肺ガンを告知していた。 「手術すれば病巣をすべて取り除ける可能性があります。」 井上は首を横に振った。 「いや、手術はいいよ。」 冴は怒りを爆発させた。 「元気になって、ちゃんと息子と向きあえよ。このまま死ぬなんて許さない。」 井上はポツリとつぶやいた。 「オレにそんな資格はないよ。」 冴は言葉を失った。 |
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