今週は、「天国のKiss」のみどころの一つであるCG&合成シーンの特集です!
CG&合成のシーンの制作がほぼすべて行われているのが、神宮前スタジオです。CG&合成チームの代表メンバー3人(奥田圭一さん・神宮前スタジオ映像制作事業部プロデューサー、永見康明さん・エーマシーンズ・CGディレクター、石河慎一さん・神宮前スタジオビジュアルアーティスト)に、作業中の現場にお邪魔でして、お話を聞きました。
連続ドラマでこれほど多くのCGと合成を使ったものは初めてと言って良いんではないかと思いますが…
奥田「そうですね、初めてと言えると思います。神宮前スタジオでは、SMOKE、FLAME、INFERNOといったハリウッドの大作を作るために開発された、世界で最も高性能の合成用のマシンを導入して、普段は主にCMやミュージッククリップの制作を行っています。CGと合成の作業はとにかく時間がかかりますから、1週間に1本、1時間の連続ドラマの制作は、私たちにとって、大きなチャンレンジでした。でも反対に、やったことがなかったので、『イッパツがんばってみようか!』、と思いました…(笑)短時間でハイクオリティーのものをどこまでできるのか、挑戦してみたかったんです。」
永見「幽霊モノなので、CG合成部分の空気感・質感をどこまでリアルで説得力のあるものにできるか、それが課題でした。制作サイドの姿勢として、きちんとしたものを出したい、という気持ちがありますから、細部に至るまで妥協はしていません。もちろん、時間の制限はありますが、最高のものを作っているという自負はあります。正直、始める前はこんなにCG合成シーンが多くなるとは思っていなかったのですが(笑)…」
具体的な作業はどのように行われるのでしょうか。
奥田「作業的には、大きく分けてCGブロックと合成ブロックとがあります。CG部分は、CGディレクターの永見さんが制作し、それをINFERNOに取り込んで、合成作業を行います。ここ(神宮前スタジオ)でドラマ本編の編集・MA作業がすべて行われているので、データのやりとりや監督との打ち合わせなど、非常に効率が良く出来るんです。」
永見「CGの制作も、時間を稼ぐために、こちらに自分のワークステーションを持ち込んでやっています。多い時は3台ありました。使用しているソフトはLightwave
3DとAfter Effects などです。」
実際の作業過程を、2話の明日美の壁抜けのシーンを使って、解説してもらいました。
奥田「壁抜けのシーンは、多くの合成シーンがそうですが、まず監督そして美術さんと打ち合わせをして、プロレスラーの絵から奥菜さんが出てくる、コミカルな画面になればいいね、と話し合って方向性を決めました。」
石河「作業的には、グリーンバックの明日美(1)を撮影した画像、背景となる壁とポスターの画像(2)、ポスターを浮き立たせたCG画像(3)、この3つをINFERNOの中で合成しました。3つをきれいに合成して、さらにINFERNOで光線や、壁との接着面をきれいにする処理を行い、画面が完成します(4)。」
永見「CG的には、ポスターの画像を加工する前に、パースを変えてポスターの正面の画像を作って、それから作業しました。CGで作業するときには、実際に撮影された奥菜さんの画像も取り込んで、重ねて合成したときにどうなるかを比べてみながら、やっていきます。」
次に、永見さんのこだわりのシーンをご紹介します。泣いて消えてしまった透明の明日美が、CDをかけて、部屋の中を歩いてベッドに座る、というシーン。このシーンは当初、もっと簡単な編集処理で作る予定でしたが…
永見「それでは部屋に実際に明日美がいる、という空気感があまり出ないので、CGで透明の明日美(=バーチャル明日美)を歩かせたんです。画像的には、何もない明日美の部屋(5)、足跡やベッドが人が座ったかのように凹む明日美の部屋(6)、そして、透明な明日美のCG画像(7)を合成しました。見ていてわかった方はいなかったかもしれませんが、かなり凝ったことをやっています(笑)。CDが一人でに持ち上がるところも、実は透明なCGの手が存在しているんです。」
石河「消えたり、光ったりする明日美を表現するのも、かなり大変な作業なんです。単純に光のCGを重ねただけではエッジの部分はきれいには出ないので、人物の画像をフレーム毎にすべて縁取りして(8)、マスキングしなければなりません(9)。この画像に光を加えるので、明日美がきれいに光って見えるのです。1話で走っている明日美のマスキングは大変でした…フレーム毎というのはつまり1秒に30枚(フレーム)ですから、10秒走ったら単純に300枚、手で縁どりしてマスクを取りました。」
突然ですが、ここで、問題です。
歩いている明日美ちゃん、この画面の中に一部CGアイテムが映っています。スタッフの姿が見切れていた(=画面に入ってしまった)ので、その部分を隠すためですが、それではいったいどこでしょう?正解は来週のこのページにて!!正解しても特に賞品は出ませんが、挑戦してみたい方、メールをお待ちしています。
最後にホームぺージを見ている視聴者のみなさんへのメッセージをお願いします。
奥田「これから後半に向かってがんばります。スタッフは結構みんな仲が良いので、楽しいですよ。CG合成はこれからまたみどころが多くなって行くと思いますので、ご注目下さい。」
ありがとうございました。
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